「Sleepin' Bird」Schroeder-Headz

ループする全て、繋がり、続いていく。

シュローダーヘッズが Serph, Shing02, NUMB, L.E.D. と描くサウンドスケープ。


Schroeder-Headz(シュローダーヘッズ)

数多くの著名ミュージシャンのサポートとして活躍するキーボーディスト、渡辺シュンスケによるソロ・プロジェクトにして、ピアノとベース、ドラムスによるインストゥルメンタル・トリオ。その名前はアメリカのアニメ "PEANUTS"(日本名:スヌーピー)に登場するトイピアノを弾く男の子、シュローダー君に由来している。クラシック、ジャズ、ダンスミュージック、エレクトロニカなどを通過した現代の耳を持つ、リリカルな男子の脳内イメージ、そして同アニメの音楽を担当したビンス・ガラルディ・トリオへの敬愛の意も込めて。

 

VITO-119


現代/過去/未来、繰り返されるストーリー。極小~極太、相似する世界。その先に見える微かな光。

果てしないリズムのループ感と感動的なピアノのメロディが印象的なオリジナルバージョンに加えて、豪華なリミキサー陣が参加!

今、エレクトロシーンで最も人気のあるアーティストの一人 Serph、ブレイクビーツ/エレクトロシーンの立役者にして、Revirthレーベル主宰のNUMB、シネマティックなサウンドが特徴的なポストロックバンドL.E.D.、更にHIP HOPシーンのカリスマ Shing02までをもフィーチャー。更にリリカルなメロディが美しい10分超の大作「Harusame」をアルバムの最後に収録。ピアノのみで録音されたインプロヴィゼーション曲「Sky」と「Hidden View」も、そのシンプルでメロウなサウンド、空間の響きに聴き入ってしまう。

Sleepin' Bird
日本高度経済成長期に作られた、ありふれた郊外の公団住宅。割り当てられた棟番号以外は構造も間取りも何一つ変わらない、コピーアンドペーストされた量産型ザクのような四角い箱。コンクリートの壁のしみ、甲虫の死骸。そして、他の多くの同年代の子供たちと同じように、僕もそこに埋もれて幼少期を過ごした。
そんな住宅のベランダの一角で飼われた鳥かごの中の1羽の鳥。
「鳥は眠る、そして夢を見る」
今まで見た事もない巨人のような山脈、遥かに広がる大海原、眼下を星空のように明るく照らし出す深夜の大都会、雨の中も風の中もひたすら飛び続ける夢を。
そしていつか、同じ羽の色をした仲間たちに出会うのだ。
そんな眠る鳥たちのつぶやきが(twitter)が、今、世界中にあふれている。
唄うことを、飛ぶことを忘れてしまった鳥たちのつぶやき。
世界の中心は自分にあるということを、みんな必死に取り戻したがってでもいるように。


Sky
ある日、ふと思い立って久しぶりに部屋のベランダからじっくり空を眺めた。普段の生活では、まずしないであろう結構な長い時間だったように思う。日没にむけて、刻々と変化していく微妙な空気の色の変化やグラデーション、さまざまな表情を見せる雲の形に、いつのまにか我を忘れて見入ってしまっていた。今更ながら、こんなに美しくて、変化に富んだ大きなものに包まれて暮らしていたことに驚きながら。
画家が絵筆をとるように、この景色をピアノで今すぐに描写したいと強く思い立ち、あわててピアノにマイクをたてて録音ボタンを押した。
 

Hidden View
これも『Sky』と同じく、インプロヴィゼーション作品。日本の住宅事情ならではの機能なのか、自宅のヤマハのピアノには弱音レバーなるものがついていて、これを引くと音量がかなり下がるのと同時に、音色もオブラートに包んだような、どこか丸くてコロコロした優しい音へと変化する。だれかと飲んで帰ったある夜、帰宅するなり部屋の明かりもつけずに、窓の外の夜の景色を眺めながら一心不乱に演奏、録音した。なんだかハッピーでトラストフルな気分の夜だったと思う。harpのような音にも聞こえて心地よい。


Harusame
ハルサメ。これは食べ物ではなくて、春に降る雨のこと。言葉の響きが好きで、いつか猫を飼ったら、この名前をつけようと思っている。生命の芽吹きとともに、これから訪れる季節の到来の予感。夏が過ぎれば、あっとういうまに冬になる。1年の始まりを実感するのは、やはり春という季節。生と死の交わり。終わりは、新しいはじまり、でもあります。そして、今現在というのは、つねに何かと何かのあいだにあって、同じように、音楽にもはじまりと終わりがある。


渡辺シュンスケ/Schroeder-Headz

≪Official HP≫