「Synesthesia」Schroeder-Headz

  1. Memento Mori
  2. Blue Bird
  3. 3 On 3
  4. Follow Me
  5. Tokyo Tribal Sacrifice
  6. Far Eastern Tale
  7. Petal
  8. Midnight Sun
  9. Wildthing's Arm
  10. The Award For The Most Stupid Question


ピアノ・トリオの未来形。美しいメロディとグルーヴが紡ぐポスト・ジャズ。

Schroeder-Headz(シュローダーヘッズ)

数多くの著名ミュージシャンのサポート・キーボーディストとして活躍する、渡辺シュンスケによるポスト・ジャズ・プロジェクト。ピアノ、ベース、ドラムスによるアコースティック・トリオ・サウンドとプログラミングを融合させ、美しいメロディと有機的なグルーヴが印象的なピアノ・トリオの未来形とも言えるサウンドを紡ぎ出す。

 

VICL-64128


メジャーレーベル移籍第一弾!
アルバムジャケットは人気イラストレイター中村佑介氏による書き下ろし。
ニュー・アルバムは『Synesthesia』(共感覚(色に音を感じたりする特殊な知覚現象)と題され、ピアノの白と黒の鍵盤から紡ぎだされるカラフルな世界を音にイメージして出来上がった。また、ジャケットのイラストはASIAN KUNG-FU GENERATION他数多くのアーティストのCDジャケットや赤川次郎、石田衣良、森見登美彦などの書籍カヴァーも手掛ける中村佑介氏の書き下ろし。漆黒のピアノの中に拡がるカラフルな音世界が描き出されている。

☆アルバムタイトルについて
シナスタジア=共感覚
(文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりする感覚のこと)

僕個人、おそらく共感覚は持っていませんが、音楽から色を感じるイメージはあります。音の色と書いて、音色(ネイロ)と読むように、音にも様々な種類があります。例えば、さまざまな楽器による大編成のオーケストラ作品からは、多様な色彩をイメージすることが出来ます。逆に、ピアノは実際の見た目にも黒鍵と白鍵から成り立っていて、そこから生み出されるピアノ曲からは、絵画に例えれば、デッサンやクロッキーのように、白黒のモノトーンの骨組みや陰影から生み出されるシンプルで静謐な構造を感じとることができます。

ピアノが主役であるこのアルバムにおいて、一番ミニマムなアンサンブルであるトリオ形態による自由な演奏と、EDM的なエディット作業を駆使することによって、白黒のモノトーンの世界から溢れ出す、みずみずしい躍動感に満ちたさまざまな色彩を持ったカラフルで新しい世界を曲ごとに感じて欲しい。そしてそれはちょうど共感覚のように、聞く人によって全く異なる、それぞれの色彩へとなって欲しい。
このアルバムタイトルには、そんな願いが込められています。

『光と闇のあいだに色彩がうまれるように』


Memento Mori
死生観。『人はいつか死ぬことを忘れるな』という警句。
あの震災を経て、音楽をやる意識が少し変わったと思う。
音楽がけしてパンや水になることはないが、生きる上で楽しむことは大切なこと。
 夕日を見て美しく感じたり、部屋に花を飾って気分が晴れたり。
自分の作る音楽が、せめて誰かにとってのそういった存在になれたら、とても嬉しく思う。

Blue Bird
眠る鳥は、やがて目を覚まし、青い鳥となって羽ばたいた。
デビューアルバム『newdays』から、『Sleepin' Bird』を経て、たどり着いた一つのかたち。
今現在の自分が、いちばん表現したい音が込められた曲です。


3 on 3
舞台は未来世紀20XX年。
この年、ニューオリンズの巨大なスーパーコロシアムでおこなわれた、格闘バスケットボール、スリーオンスリーバトルのワールドシリーズ優勝決定戦。
国籍豊かな3人の人間代表チームと、人工筋肉を持った完全自律人型アンドロイドTB303チームとの攻防。下馬評では圧倒的にアンドロイドチームが有利だったが、反則スレスレの凶器攻撃に耐えながら、最終的に人間が逆転勝利する。
そんなPVを妄想しながら作った曲。。。
ではないが、テクノを代表するアシッドマシンTB303とJAZZ的なイディオムの中でジャムるアイデアから。

Follow Me
映画『ジャンヌダルク』での有名なセリフ。揺るぎない意志を持った強い女性へのあこがれ。遺伝子的にみると、男だけの持つY染色体は年々劣化していき、やがては消滅するという。肉食系女子とか、字面だけみると恐ろしくなるが、日本の男も昔に比べてずいぶん弱くなったものだ。
時代、もしくはナウシカの作った功罪なのか。
昔の男の言葉に置き換えれば、『黙ってオレについて来い』


Tokyo Tribal Sacrifice
ニューヨーク、パリ、ロンドン、欧米から見たTOKYOと、ドメスティックな視点からみたTOKYO。多くの国の首都がそうであるように、多くの人々や新旧さまざまな場所にあふれかえって刺激的な反面、おなじだけの矛盾もたくさんあるが、地球規模で見ると、よくもまあ、こんな小さな島国に海外からみんなひっきりなしに集まってくるものだと感心する。「おもてなし」と「おひとよし」は紙一重。
今現在のTOKYOを表現するには、初音ミクがどうしても必要だと思い立ち、ミックス直前に楽器屋で購入、インストールして初調教。

Far Eastern Tale
アジア、もしくは日本としての文化的アイデンティティーについて。
潜在的なリズム感や、音感というものが仮にあるとして、果たしてそれが自分の中の音楽的なピンポイントによって見つけられるのだろうか?ねじれた欧米至上主義とも言える、80'sの日本のミュージックシーンをルーツに持っていることを再確認しつつ、その呪縛にあえて身を任せて、今現在の形へと素直に再構築してみた批評的な意欲作。


Petal
太陽のポールシフト、氷河期の到来、温室効果ガスによる温暖化、いろいろ言われている中、日本の四季がだんだん薄れてきている感覚がある。特に、春と秋が短くなってきている気がするのは自分だけではないと思う。どちらも大好きな季節なだけに、なんだか時折、落ち着かない気分になります。
とはいっても、生きていく中での変化はつきもので、それはもちろん人間にかぎらず、視点の違いや大きさによって時間の流れ方、感じ方もそれぞれ違うはず。
ただ、人間に言わせれば、大きく変わると書いて「大変」と読むというだけの話なのである。
「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」
 植物の持つ時間感覚とは、どんなものだろうか?蕾が花へと、ゆっくりと開花してゆき、やがて一片づつ散っていくまでの時間。逆に都市から遠く離れた森の木々たちは、人間の営みを、あるいは人間が四季と呼ぶサイクルをどんな風に感じているのだろうか?

Midnight Sun
ポストジャズ。ECM時代のリッチー・バイラークをナイジェル・ゴドリッチがプロデュースしたら、という仮定をもとに製作。有機的な物と、無機的な物の融合。それは、北極圏の沈まない太陽のような、あるいは、宇宙の広大な闇の中で密かに静かに燃え続ける、青白い恒星を思い起こさせる。


Wildthing's Arm
架空の映画のサントラのつもりで作曲。
その外見から人々に忌み嫌われ、街を追いやられることになった心優しき怪物は、自分の出生をけして呪うことなく、人里離れた山奥の湖へと帰ってゆく。街で偶然手に入れた片方だけのピンクのニットの手袋をし、道ばたで拾ったボールペンのキャップを握りしめ、さざ波一つない、月と星空をくっきりと映し出した鏡のような湖面から、ゆっくり、ゆっくりと湖の最深部へと帰っていく。彼の表情からは、感情らしきものは何ひとつ読み取ることはできなかった。
そんなイメージをバイオリンの岡村美央さんに伝えて、自由に弾いていただきました。

The Award For The Most Stupid Question
ヴィンス・ガラルディへのオマージュ。
タイトルは「PEANUTS」のコミックのシュローダーのセリフから。
『ベートーベンのどこが、エルトンジョンよりいいの?』
と聞いたルーシーへの返答。
最後は、ほっと一息つける明るい曲で終わりたかったのです。


渡辺シュンスケ/Schroeder-Headz

≪Official HP≫